2013-4-21〜5-6 |
撮影種:358種 (内初見:356種) |
自然の風物 Nature of Ecuador 詳細な日誌 Detailed Diary |
主要更新 ◆'22-3-29:Clements分類に準拠して再配列する。 ◆'20-1-2:アマサギをニシアマサギとして別種とする。 ◆'12-10-29:エクアドル選定経緯 友人KK氏が、2012年10月から11月にかけて南米を40日間探鳥・観光旅行してきた。最初のエクアドルの1週間で、200種を超える初見鳥を撮影したとの現地からのメールに触発され、来年行くことを決心した。 もともと体の動くまでは探鳥旅行するつもりで、いつかは野鳥の楽園コスタリカを目指そうと決めていた。コスタリカは特に中南米の熱帯系の美麗な野鳥が多く、マニア垂涎の聖地である。 コスタリカは特にハチドリ類が豊富で有名なところであるが、私自身はハチドリそのものには特に思い入れはない。それなので、友人KK氏の経験を活かせば確度の高い計画が組めるエクアドルのほうが良いと判断した。 コスタリカとエクアドルは地勢的にも近いので似通った野鳥がいるであろう。また標高差の大きい場所を選べるのでむしろエクアドルのほうが多様な種を見られるかもしれないという期待もあって、行き先を変更することに迷いはない。 ◆'12-10-28:本欄新設 |
4月から5月にかけて約三週間、野鳥撮影旅行を行った。全行程をガイドのフレディおよびドライバーと一緒で、土地の人が泊まる簡
易宿に泊まり、土地の人と同じ食堂で現地の料理を食べ、旅行を続けた。なるべく費用を抑えたいとの要望に応えてくれたので、簡素な旅となっ
た。それでも気に入った料理が見つかった。さっきまで庭を走り回っていた奴に違いないと思うほど脂がのってコリコリした皮つき鶏肉と、少しの野菜を煮込んだチキンスープ。それに味はないが大粒で歯ごたえのある蒸したトウモロコシとチーズ。これに惚れてしまい、メニューにあれば
必ず注文した。 全行程で27,500枚余の撮影をし、ウェブサイトに載せるための整理に丸三ヶ月を要した。 全部で358種 類の野鳥(内、初見鳥は356種)を撮ったが、つくづくガイド脚注)の有難さが身にしみた。私一人ではこの半分も撮れなかったと思う。 日本では丸3年で初見鳥305種だから、三週間で356種の初見とはまるで野鳥天国だ。渡りの経路が日本とは全く違うので、野鳥の種類はほとんど重ならな い。実際日本でも見られる野鳥で撮ったのは、ササゴイ、ドバトの二種類だけであった。当初アマサギもここに加えていたが、後にニシアマサギとして別種であることが分かった。 代表的な撮影種を挙げるのは難しいが、種類としては飛び方の印象的なハチドリ類(51種)、原色の色合いが見事なフウキンチョウ類(52種)が目を引く。 日本にはこれらの美麗な野鳥類は全くいない。オオハシ、チュウハシ類もその特異な嘴のゆえに人気がある。エクアドル旅行では高いところで海抜4200m、低いところは アマゾンのジャングルであった。おおむね1500mから2500mの地域に長居をした。 エクアドルは赤道直下のため、年間を通じて平均気温の変化はないのであるが、海抜4200mでは夏といえども朝は霜が降りて寒い。薄いセーターが必須だった。 日本で熱帯ジャングルを思い浮かべると暑くて我慢できないところと思いがちだが、よほど関東地方の夏の方が暑くて湿気が高く過しにくい。現地でエアコンが欲しいと思ったことはなかった。ジャングルには蚊もほとんどいない。 蚊が繁栄するほど血を吸う動物 (人間が主な獲物?)がいないからだろう。 町の中ではたまに蚊に刺された。 当初の日程は全く休みのない強行軍だった。朝は4時から5時に起き、すぐ出発して8〜9時ごろ野外でサンドイッチとフルーツの食事をとる。 4200mの高原でも高山病にはならなかったが、ファインダーを覗いて息を詰めていると、それだけでハァハァと息が上がる。探鳥を初めて11日目に左目が内出血し、これはいかんと一日休養をとった。フレディも疲れていたらしく、「ホッとした」と笑みを浮かべた。なるべく多くの野鳥を 探そうと私以上に緊張を続けていたはずである。休養は正解で、その後に支障は出なかった。 |
旅程
期日 |
訪問地 |
探鳥記 |
初見 |
宿泊地 |
|
5-7 | ・キト旧市街 | 街中なのでドバトだけ観察 | -- | 帰国 | |
5-6 | ・コカ、キト | アマゾンを去る | 2 | キト | |
5-5 | ・サニロッジ周辺 | なんとかマイコドリを撮る | 23 | サニロッジ | |
5-4 | ・サニロッジ周辺 | まず高さ36mのキャノピーで探鳥 | 40 | サニロッジ | |
5-3 | ・ロレト道路、サニロッジ | いよいよアマゾン向かう | 30 | サニロッジ | |
5-2 | ・ロレト道路、ワイルドスマコ |
コカまでの道路わきに多くの野鳥 | 30 | コカ | |
5-1 | ・バエサ | 疲労のため休息、宿の周りを散策 | 1 | バエサ | |
4-30 | ・サンイシドロ | より低地になり、種類も変化 | 13 | サンイシドロ | |
4-29 | ・グアンゴロッジ、その周辺 | 狭い地域に多くの種類 | 33 | グアンゴ | |
4-28 | ・パパヤイタとその近郊 |
種類は少ない | 8 | パパヤイタ | |
4-27 | ・アンティサナ、コンドル牧場 | 標高4000m超。念願のコンドル撮影 | 19 | パパヤイタ | |
4-26 | ・ミンド近郊 |
第一目標:Umbrella Bird:見られず | 17 | ミンド | |
4-25 | ・ミンド近郊 |
第一目標:アンデスイワドリ撮影 | 11 | ミンド | |
4-24 | ・サッチャタミヤ/ミンド近郊 |
最大数の初見があった | 42 | ミンド | |
4-23 | ・ミンド周辺 | サンロレンツォ道路:特に濃い鳥影 | 37 | ミンド | |
4-22 | ・ヤナコッチャ | 峠を越えてミンドに向かう | 40 | ミンド | |
4-21 | ・カロリーナ公園/キト | 公園の植物園には結構な野鳥が来た | 10 | キト | |
4-20 | ・夜キト到着 | 寝るだけ | -- | キト | |
計 | 356 |
■撮影機材
レンズ |
ボディー |
主な用途 |
(1) Nikkor 500/F4 FL | Nikon D7100 | 据え置き主体、三脚使用 |
(2) Nikkor 80-400 | Nikon D7100 | 移動主体、飛びもの、手持ち |
(3) Vario-Sonnar 10.4-37.1 | Sony RX100 | 風景およびスナップ |
(注)最少限の費用で、最多の種類の野鳥を撮りたいとの私の希望を聞いてくれ、全行程をアレンジしてくれた26歳の若いガイドを紹介します。訪問地を自由に設定したい方は、アクセスして相談することを薦めます(英語)。通称、フレディ(Freddy)です。宿の質、食事の内容、車の質などのグレードを落とせば、かなりの節約になります。 → フレディ(Freddy)、Mr. Fernando Arias Angulo<tntedoblef@yahoo.es> |
<商業探鳥ツアーの紹介文抜粋>
エクアドルには約1560種類の野鳥が生息している。この数はペルー、コロンビア、ブラジルに次ぐ世界第4位に位置している。しかし、上位3国がエクアドルの国土面積の4倍以上を有する事や治安の良さを考慮すると、エクアドルが世界No.1の野鳥天国と呼ばれてもおかしくはない。 130種以上のハチドリ、140種にも及ぶフウキンチョウなど、野鳥好きなら一度は見てみたい鳥達ばかりだ。事実、欧米のバーダーにとって、エクアドルは南米で最も人気が高い探鳥地である。
■カイツブリ目<写真をクリックすると詳細ページへ移動 / Click photo to detailed contents!>
■ギンカイツブリ Silvery Grebe |
■ペリカン目
・ヘビウ科
■アメリカヘビウ Anhinga |
■コウノトリ目
・サギ科
・トキ科
■カオグロトキ Black-faced Ibis <標高4000mのアンティサナ高原に生息> |
■カモ目
■アカオタテガモ Andean Duck <標高3950mのミカコチャ湖に棲む> ■アンデスシマアジ Andean Teal <標高3950mのミカコチャ湖に生息> ■キバシオナガガモ Yellow-billed Pintail |
■タカ目 ・コンドル科
■オオキガシラコンドル Greater Yellow-headed Vulture ■クロコンドル Black Vulture ■コンドル Andean Condor ■ヒメコンドル Turkey Vulture |
■オオハシノスリ Roadside Hawk ■セアカノスリ Variable Hawk ■タニシトビ Snail Kite ■ツバメトビ Swallow-tailed Kite ■ハイイロオオノスリ Black-chested Buzzard-eagle ■ハイガシラトビ Gray-headed Kite ■ハバシトビ Double-toothed Kite |
■アメリカチョウゲンボウ American Kestrel ■キノドカラカラ Black Caracara ■キバラカラカラ Yellow-headed Caracara ■コウモリハヤブサ Bat Falcon ■マダラコシジロカラカラ Carunculated Caracara |
■キジ目
■アンデスシャクケイ Andean Guan ■カマバネシャクケイ Sickle-winged Guan ■ブラジルヒメシャクケイ Speckled Chachalaca ■セグロウズラ Dark-backed Wood Quail |
■ツメバケイ目
■ツメバケイ Hoatzin <幼鳥時、羽に爪がある。アマゾンを代表する鳥の一つ> |
■ツル目
■ツルモドキ Limpkin ■アメリカヒレアシ Sungrebe ■アンデスオオバン Andean Coot <標高3950mのミカコチャ湖に生息> |
■チドリ目
■アンデスツメバゲリ Andean Lapwing <標高4200mのアンティサナ草原に生息> ■アメリカイソシギ Spotted Sandpiper ■アンデスカモメ Andean Gull <標高4200mのアンティサナ草原に生息> |
■ハト目
■オウム目
■カッコウ目
■オニオオハシカッコウ Greater Ani ■オオハシカッコウ Smooth-billed Ani ■ハイムネリスカッコウ Squirrel Cuckoo |
■フクロウ目
■アカスズメフクロウ Ferruginous Pygmy Owl <スズメより少し大きなホオジロと同じ大きさ> ■カンムリズク Crested Owl ■スピックスコノハズク Tropical Screech Owl |
■ヨタカ目
■アブラヨタカ Oilbird ■オオタチヨタカ Great Potoo ■ハイイロタチヨタカ Common Potoo ■マタオヨタカ Ladder-tailed nightjar |
■アマツバメ目
■シロエリアマツバメ White-collared Swift |
■ハチドリ目
■キヌバネドリ目
■カオグロキヌバネドリ Masked Trogon ■カンムリカザリキヌバネドリ Crested Quetzal ■キンガシラカザリキヌバネドリ Golden-headed Quetzal ■クビワオグロキヌバネドリ Black-tailed Trogon ■ハグロキヌバネドリ Green-backed Trogon |
■ブッポウソウ目
・カワセミ科
■アカハラミドリヤマセミ Green-and-rufous Kingfisher ■オオミドリヤマセミ Amazon Kingfisher ■クビワヤマセミ Ringed Kingfisher ■コミドリヤマセミ American Pygmy Kingfisher ■ミドリヤマセミ Green Kingfisher |
■アマゾンオオハチクイモドキ Rufous Motmot |
■キツツキ目
・キツツキ科
・キリハシ科
■シロアゴキリハシ White-chinned Jacamar ■ミミジロキリハシ White-eared Jacamar |
■キバシクロアマドリ Yellow-billed Nunbird ■クロビタイアマドリ Black-fronted Nunbird ■シロビタイアマドリ White-fronted Nunbird |
・ゴシキドリ科
■キンガシラゴシキドリ Gilded Barbet ■ズアカゴシキドリ Red-headed Barbet ■ヒガシラゴシキドリ Scarlet-crowned Barbet |
■オオハシゴシキドリ Toucan Barbet |
■スズメ目
・タイランチョウ科
・アリドリ科
■アマゾンタテジマヒメアリサザイ Amazonian Streaked Antwren ■ウスグロアリモズ ♀ Cinereous Antshrike ■ギンンムネアリドリ ♂ Silvered Antbird ■コーチャアリモズ Cocha Antshrike <エクアドル固有種、準絶滅危惧種> ■シロボシアリドリ Dot-backed Antbird |
■アカカンムリカザリドリ Red-crested Cotinga ■アンデスイワドリ Andean Cock-of-the-rock ■オオムジカザリドリ Dunsky Piha ■シマミドリカザリドリ Barred Fruiteater |
■シロボウシマイコドリ White-crowned Manakin |
■サカツラハグロドリ Masked Tityra ■ズグロハグロドリ Black-crowned Tityra ■ニッケイカザリドリモドキ Cinnamon Becard ■ハジロカザリドリモドキ White-winged Becard ■マユワキムラサキカザリドリ White-browed Purpletuft |
・ジアリドリ科
■オリーブジアリドリ Tawny Antpitta <海抜4200mのパパヤイタで遭遇、4200mでも低い灌木林あり> ■キムネヒメジアリドリ Ochre-breasted Antpitta ■ヒゲジアリドリ Moustached Antpitta |
■シラボシオタテドリ Ocellated Tapaculo ■ムネアカオタテドリ Rusty-belted Tapaculo |
■インカサンジャク Inca Jay <カラスと同類とは思えない配色である> ■カオグロルリサンジャク Violaceous Jay ■ジュズカケアオカケス Turquoise Jay <カラスと同類とは思えない鮮やかな紺色である> |
■アイイロツバメ Blue-and-white Swallow ■オビナシショウドウツバメ Southern Rough-winged Swallow ■チャムネツバメ Brown-chested Martin ■チャバラアイイロツバメ Brown-bellied Swallow ■ハジロミドリツバメ White-winged Swallow ■ムラサキツバメ Purple Martin |
・センニュウ科
■ミズベマネシツグミ Black-capped Donacobius |
■アカオマユミソサザイ Plain-tailed Wren ■アカミソサザイ Rufous Wren ■コバシヌマミソサザイ Grass Wren ■シロサボテンミソサザイ Thrush-like Wren ■ヤマミソサザイ Mountain Wren |
・カワガラス科
■シロガシラカワガラス White-capped Dipper |
■エクアドルジツグミ Ecuadorian Thrush ■オニツグミ Great Thrush ■ハシグロツグミ Black-billed Thrush |
・ホオジロ科
・フウキンチョウ科
・コウカンチョウ科
■キムネオリーブフウキンチョウ Ochre-breasted Tanager ■クロイカル Slate-colored Grosbeak ■ナンベイオウゴンイカル Golden-bellied Grosbeak |
自然の風物
マスメディアの情報だけからアマゾンジャングルを思い浮かべると動物が豊富で昆虫も沢山おり、花も咲き乱れていると考えがちである。狭い私の経験ではあるが、期待の一割もいないのが現実である。全行程を通じて蝶は10回程度見たが、とうとう甲虫類などには一度もお目にかからなかった。野生ランもほとんど見た覚えがない。まあ、旅行者が歩くようなところにあるものは直ぐ採集されてしまうのだろう。
ただ野鳥の種類も数も豊富なエクアドルは自然も豊かであったので、昆虫は葉に隠れて目につかないだけなのかもしれない。常緑樹の葉にはどれにも食痕が目立ったし、これだけの野鳥が繁殖するには餌も豊富なはずである。
いっぽう大形の猛獣はいないが、時に下草の生えた藪の中に入るので、毒蛇に注意しなければならない。私自身、ヘビは怖くないので接近しがちであるが、幸運なことについぞ遭わなかった。通常なら人の足音で逃げるのだが、繁殖期だと気が立って攻撃的になるので油断は禁物である。
■動物
■コモンリスザル Common Squirrel Monkey Saimiri sciureus ■シロガオオマキザル White-fronted Capuchin Cebus albifrons ■マダラアグーチ Central American Agouti Dasyprocta punctata ねずみの仲間である。 ■カイマン Caiman ロッジの周辺の沼にはかなりいた。夕方ボートで移動中、30分間に12頭を数えた。 ■タランチュラ Tarantula 足の先端から先端まで約15cm。触れるほど手を近づけても逃げない。 ■昆虫 Insects |
■花 道端に咲いていた花たち
植物園に植えられていたものを除くと、野生のランには出遇わなかった。もっとも、鳥探しに夢中なので花に目を向けるのは鳥の出ない合間だけではある。撮った花はほとんど道端に咲いているものであり、現地では半ば雑草と思われている類いであろう。
■樹木 木には関心がうすいので撮影したものは少ない。